RoHS指令とは?

RoHSとは「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略称で、直訳すると「電子・電気機器における特定有害物質の使用制限」を意味します。
物質の使用制限をすることで、電気・電子機器のリサイクルを容易にし、埋立てや焼却処分時に人や環境に影響を与えないことを目的として制定されました。
欧州連合(EU)によって2003年に制定され、2006年から施行されています。2011 年 7 月に改正指令が発効して以来、「RoHS2」とも呼ばれる RoHS 指令は、製造業者に対する 4 つの義務を追加しました。
このRoHS指令に従わない製品は、EU市場への販売が認められません。これにより、全世界の製造業者やサプライチェーン全体に、RoHSの基準への対応が求められるようになりました。

【RoHS指令の規制対象10物質詳細】

規制物質 最大許容濃度 主な用途
鉛(Pb) 0.1wt% 蓄電池、金属の快削性向上のための合金成分などに使用。
水銀(Hg) 0.1wt% 蛍光灯、バッテリー、体温計などに使用。
カドミウム(Cd) 0.01wt% バッテリー、塗料、安定剤などに使用。
六価クロム(Cr6+) 0.1wt% 金属の防食コーティングなどに使用。
ポリ臭化ビフェニル(PBB) 0.1wt% 電子機器の難燃剤として使用。
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) 0.1wt% PBBと同様、難燃剤として使用。
フタル酸ビス(DEHP) 0.1wt% プラスチックの柔軟剤などに使用。
フタル酸ジブチル(DBP) 0.1wt% プラスチックの柔軟剤などに使用。
フタル酸ブチルベンジル(BBP) 0.1wt% プラスチックの柔軟剤などに使用。
フタル酸ジイソブチル(DIBP) 0.1wt% プラスチックの柔軟剤などに使用。

RoHS指令対象の製品

RoHS指令の対象となる電気・電子機器の基準は、「定格電圧AC1000V、DC1500V以下」のものと定められています。具体的には、現時点で下記11カテゴリーに分けられています。

【RoHS指令の対象製品】

対象製品カテゴリー 製品例 適用開始日
大型家庭用電気機器 冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど 2006年7月1日
小型家庭用電気製品 掃除機・時計・電動歯ブラシなど 2006年7月1日
情報技術・電気通信機器 パソコン・複写機・携帯電話など 2006年7月1日
民生用機器 テレビ・ビデオカメラ・アンプ・楽器など 2006年7月1日
照明機器 ランプ類・照明制御装置 2006年7月1日
電気・電子工具 電気ドリル・ミシン・はんだ用具など 2006年7月1日
玩具・レジャー用品・スポーツ用品 ビデオゲーム・電気電子部品を含むスポーツ器具・スロットマシーンなど 2006年7月1日
医療機器 放射線治療機器・人工心臓・透析装置など 2014年7月22日
産業用を含む監視および制御機器 煙検出器・加熱調節装置・サーモスタットなど 2014年7月22日
自動販売機 飲料自動販売機・食品自動販売機・現金自動引出機など 2006年7月1日
上記カテゴリに入らないその他の電気電子機器   2019年月23日

RoHS適用除外される有害物質

規制物質項目の一つである鉛に関しては一部の用途での使用が許可されています。これはRoHS指令には特定の有害物質の使用を制限する内容が明文化されており、規制対象の有害物質すべてが全面的に禁止されているわけではないからです。この例外として許可されているのは、「技術的・化学的に代替が不可能な用途」に限定されています。具体的に適用除外となっている「鉛」の用途は以下の通りです。
鋼材に含まれる鉛:0.35wt%まで
アルミニウムに含まれる鉛:0.4wt%まで
真鍮に含まれる鉛:4wt%まで
この適用除外リストは固定されているわけではなく、技術進化や新しい研究結果に基づき変更される可能性があるため、これらの例外措置は、代替物質が見つかるまでの一時的なものであり、時限措置として定められています。その期限が来ると、EUではその継続か廃止かを再検討します。実際、過去には「六価クロム防食剤」は、代替品が確立されたために適用除外リストから取り除かれました。今後も新たな技術や代替品の出現に伴い、このリストは更新されていくでしょう。

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